定額制はなぜ遅れたか

2011.06.14

99年春の段階で、アメリカの小学校から高校までの学校へのインターネット普及率は95%。対して、日本の公立学校へのインターネット普及率は37%にすぎない。すべての学校に行きわたるまで展開を待つのではなく、ここでもできるところから手をつけるべきであった。定額制をめぐるもうひとつの論点は、料金制度の歴史的経緯である。電話サービス料金の定額制はアメリカではアナログの時代から常識だが、日本やヨーロッパでは違う。日欧では従量制の料金体系になっている。アメリカの定額制を日本でも実施することが世界の常識とは言えない。我々は、アメリカのやっていることをクローバルーズタンダードだと言いくるめることには反対だ。しかし、これはボイス(音声)のマーケットを前提とした議論にすぎない。第2章の中で説明したように、ボイスの通信に使われてきた伝送技術では、どのくらいの時間、どれくらいの距離で回線を占有したかということがコスト、料金にとって重要であった。しかし、パケット通信やATM(非同期転送モード)の技術を使ったインターネットの世界では、時間と距離の要因はかなり重要度が落ち、帯域をどのくらい使うかのほうが意味ある要素になる。それとて、WDMやDWDM(高密度波長分割多重。WDMを一層高速、高密度にしたもの)などの技術によって、キャパシティは大幅に拡張され、制約要因としてはかなり克服されつつある。とすると、コストの観点から見ても、定額制がふさわしい時代が始まっていることは間違いない。いまから定額制を実施し、トラフィックを増やしながら、新時代に備えるべきであろう。