銀幕スターとデザイナーとの華麗なる蜜月関係

2011.05.17

戦前戦後を通じて、一般庶民がハイファッションにふれられる機会って、銀幕の世界のスター達がまとうまばゆいばかりの衣装、いわゆるシネモードだったのです。ハリウッドにおいては専門の衣装デザイナー、たとえばアカデミー賞衣装部門を数皮にわたって受賞しているイーディスーヘッドあたりが有名ですが、彼らの手によって衣装デザインは手がけられてきたわけです。それがパリ・クチュール全盛期に入ると、有名女優のなかにはトップクリエイターとの深い結びつきのなかで衣装デザインを依頼する人が出てきます。有名なところではオードリー・ヘップバーンとユペールード・ジバンシイ、カトリーヌ・ドヌーヴとイヴ・サンローランとの関係がそれにあたります。オードリーとジバンシイとの友情は本当に生涯にわたるものでした。『ファニーフェイス』(邦題『パリの恋人』)という映画は、彼らふたりの関係が生み出す華麗なストーリーそのままですから。人が集まる場所には絶対に姿を現すことがなかった晩年のオードリーが、ガリェラ宮で開催されたジバンシイ40周年衣装展ではメインホステスとして彼と一緒に来場者を迎えていましたし、オードリーの葬儀の際にはユベールがスイスに行って彼女の棺を担いだそうです。ドヌーヴにしてもそうです。ホテル・インターコンチネンタルのサロン・アンペリアルで行われるサンローランのオートクチュールでは、正面最前列の中央席は必ずドヌーヴの指定席であり、カメラマン達のフラッシュのなか、彼女が席についてショーが始まるという儀式は21世紀に入った現在でも微塵も変わることはないのですから。