「産地から離れたほうが安い」という逆転現象

2011.06.22

大きな漁港のある街に旅すれば、おいしい魚が安く食べられる式に考えるのは、はっきり申し上げて錯覚です。むしろ産地から離れたほうが安いことだってある、と考えていただいたほうがいいでしょう。というのも宝石の場合、生産地では値崩れを防止するために生産調整をしていますし、一定の価格水準を維持するために価格がブロックされているのです。ダイヤモンドや真珠の価格がある程度落ち着いているのは、このように生産調整と価格統制のシバリが掛けられているからです。真珠を求めて伊勢志摩の真珠生産地に行っても、特別に安くて良質な真珠が手に入るわけではありません。現地といえども品質に応じた価格がつけられ、九州や四国の養殖地や真珠取引の中心地と言われる神戸に行っても、あなたの住んでいる街の宝飾店で買い求める値段とさほど差はないでしょう。こうした背景があるから、むしろ産地のほうが価格が高いというのが業界の常識になっているのです。産地から大都市に真珠を売りに行くとしましょう。大都市には宝石の卸業者や小売業者がひしめいていて価格競争を行っています。当然、商品を現金化したい産地業者の品物は買い叩かれ、足元を見られてしまうのは世界中どこでも同じ。産地業者は消費地で物を現金に換えなければ一銭にもならないわけで、足元を見られてしまうのです。そのため、こと宝石に関しては「産地から離れたほうが安い」という逆転現象が起きるのです。