相手を求める気持ちが弱いからといって、そのことを他人の前ではもちろん、お互いの間でも決して口にしないこと、という契約は、つまらないいさかいを招かないためにも、自分のプライドを守るためにも要求していいことである。また、二人の気持ちに大きな隔たりがあったとしても、いくら何でも嫌いな人間のところには逃げ込まないという前提で考えれば、いっしょにいられないほど隔たりが大きくならないうちは、ごくふつうの結婚に求められる契約内容にすればいい。まだ気持ちが高まらないほうの配偶者は、試走、予行演習と考えて自分の気持ちがどう変わっていくかを確かめていけばいいのである。その際、両親や親戚とのつき合いには適度の距離をおく必要がある。〈突然一人四役をこなすのは誰だってむずかしい同じ逃避型の結婚でも、まだアイデンティティが定まらない未成熟の男女が、親との生活がおもしろくないからといって、家を出て、結婚するケースもある。あるいは、心ならずも子どもができてしまったために結婚しなければならないというケースもある。アイデンティティが定まらず、心理的・経済的自立がまだできない、適齢期に達していないことが、これらの結婚の難点である。二十歳前後のごく若い年齢で結婚した夫婦の離婚率が高いことは統計にも現われているが、その原因も多くはこの点にある。